こんにちは。横浜市内科胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。

今回のテーマはズバリ! “尿検査”です。

尿検査といえば、「小学校の健康診断でうっかり忘れてきちゃった…」なんて記憶がある…方もいると思います(笑)

健診や病院の外来などで、誰でも一度は受けたことがあると思うのですが、尿検査で何がわかるのかを知っていますか?

今回はそんな尿検査についてお話しをしていきます。

 

尿検査の目的

尿は体内で作られた老廃物を排泄するもので、血液をろ過して作られています。ですから血液成分をある程度反映しますし、病気になると尿の成分が変化します。

紙コップに尿を採って試験紙で検査するのは「定性検査」といい、ある物質が尿中に含まれているかいないかを判定するためのものです。尿の定性検査は、初診や健診で病気を推測するためのスクリーニング(特定の病気が疑われる人を選び出すこと)や、治療中の病気の病態変化の把握などに用いられます。

 

どんな症状があったら尿検査をするの?

必ずこれ!と決まっているわけではありませんが、簡単に紹介すると以下の通りです。

排尿痛、血尿、排尿時の違和感、頻尿、残尿感、下腹部痛(違和感、鈍痛、張った感じなど)、血尿、混濁尿(白く濁っている)、尿臭が強いなど…

といったように、尿に対する症状はもちろん、尿に影響のでる病気が疑われる症状の時に尿検査をすることがあります。

疑う病気や調べたい項目によって尿を採る(=採尿)時間や方法が違います。どんな種類があるのでしょうか?

 

尿検体の種類

検査に出す尿はいくつかの種類があり、採尿時間と採尿方法で分けられます。

【採尿時間】

・早朝尿(起床時尿):就寝前に排尿し、朝起きがけに採取した尿のことです。食事などの影響を受けにくく、尿成分が濃縮された尿を検査することができます。ただし、雑菌が増えやすくもあるので、検査当日の朝に採ることが必要です。

・随時尿:任意の時間に採取した尿のことです。メリットは、患者さんに時間的な制約がなく、新鮮な尿を検査できことです。

・24時間蓄尿:24時間に出る尿すべてを貯めておいたものです。昼夜や食事の影響を受ける成分の尿中排出量を正確に測定するために用いられます。

 

【採尿方法】

●主な4種類の採尿方法

コップに入れる尿の採り方にも次の4種類が挙げられます。

・中間尿…出初めの尿や最後の尿ではなく、排泄途中の尿を採取します。出始めの尿には外尿道や膣由来の雑菌、皮膚の汚れが混入していることがあるためです。こうした混入を防ぐために、一般的に用いられています。

・初尿…出始めの尿を用います(淋菌やクラミジアの検出に有効です)。中間尿とは逆の採り方で理由も逆です。

・全尿…中間尿や初尿の違い、出始め~終わりまでの全ての尿を採取する方法で、長時間排尿を我慢し、溜まった尿を出し切って蓄積尿を検査する方法です。肝機能等の評価に用いられます。

・分配尿…前半と後半で2つのコップに分けて尿を採取する方法です。尿の出始め~途中、尿の最後の方と分けることで、尿路内における出血や感染部位がどこにあるのかを推測するのに有効な方法です。

 

●その他の採尿法

上記以外の採尿は自然な排尿が困難なときや、微生物学的検査を目的として用いられます。具体的にはカテーテル尿(カテーテルを挿入して尿を採取する方法)や膀胱穿刺(膀胱に細い針を刺して尿をとる方法)があります。

外来や健診で行う尿検査は、随時尿・中間尿が多いです。試験紙法(尿に試験紙を浸して色の変化で異常がないかをみる定性検査)はすぐに結果が出ますが、大まかな結果しか出ませんので、異常がある場合はさらに正確な検査が必要になることもあります。

 

と、疑う病気や調べたい項目によって採尿時間・採尿方法が違うのですよ。

学校の健康診断では特に指示をされない場合やうっかり全尿で採ってしまったという場合もありますから、今度からは是非少し意識しながら“中間尿”で尿検査の提出をしてみてくださいね。

では、この出した尿検体では具体的にどのような項目をみるのでしょうか。

 

試験紙法でみる尿検査の項目

・尿蛋白

基準値は陰性(-)です。

腎機能が低下すると、本来は尿に排泄されない蛋白が腎臓から漏れ出てきます。ただし一過性の生理的蛋白尿もあり、こうしたものは激しい運動後やストレス、発熱時などにみられます。

 

・潜血

基準値は陰性(-)です。

陽性(+)であれば、尿の通り道のどこかに出血があります。癌や炎症、結石などが出血の原因となります。

 

・尿糖

基準値は陰性(-)です。

血液中の糖がある値を超えると、尿に糖が出てきます。糖はいったん尿でろ過されて尿中に出て腎臓内で再吸収されるのですが、再吸収能力を超えると尿糖が陽性になります。主に糖尿病や甲状腺機能亢進症などで陽性(+)となります。

 

・ケトン体

基準値は陰性(-)です。エネルギー源となる糖が不足して身体が飢餓状態になり、脂肪が急激にエネルギー源として利用されたときにケトン体という物質ができます。糖尿病や長期絶食などが原因となることがあります(糖尿病は血液中の糖を細胞内に取り込みにくくなる病気なので、血液中の糖は高値ですが細胞はエネルギー源不足状態になります)。

 

・ビリルビン、ウロビリノゲン

基準値は、ビリルビンは陰性(-)、ウロビリノゲンは弱陽性(±)です。

ビリルビンとは赤血球が寿命を迎えて体内で分解されたときにヘモグロビンが代謝されてできるものです。この間接ビリルビンは肝臓で処理されて直接ビリルビンというものになり、胆汁の中に混じって腸内に排泄されます。すると腸内細菌によってウロビリノゲン・ステルコビリノゲンとなって、多くは便の中に排泄されます(便が黄褐色なのはこのためです)。一部は腸から吸収されて血液にのって肝臓に戻り、また直接ビリルビンとなり胆汁に混じって排泄されます。腸で吸収されたウロビリノゲンは一部尿中に排泄されます。

このビリルビンの循環が障害されたりうまく排泄できなかったりすると、血液中の直接ビリルビンの量が増えます。ある濃度をこえると、直接ビリルビンが尿中に排泄されます(間接ビリルビンはタンパク質とくっついているのでろ過されず、尿の中には出ません)。またウロビリノゲンは通常でも少量は尿中に排泄されますが、その正常範囲内を超えると、「あれ?おかしいぞ?」ということになります。

尿中のビリルビン・ウロビリノゲンの異常値が両方か片方かによっても、体のどこに異常があるのかを推測することもできます。

 

・pH

基準値は4.6~7.0(平均6.0)です。

尿中の酸性やアルカリ性の度合いを示すものです。尿が酸性尿かアルカリ尿かを調べることで、体の酸塩基平衡(pHバランス)の状態をおおまかに知ることができます。体液はややアルカリ性、皮膚は弱酸性…など、場所によってpHの正常値は異なりますが、尿は正常であればほとんどが酸性です。ただ、採尿後長く放置した尿は細菌がアンモニアを分解してpHはアルカリ性に傾きます。

どちらに傾いているかで疑われる病気が違います。

 

最後に…

いかがでしたか?

採血よりもずっと馴染みのある尿検査ですが、学生の頃などは「こんなことで何がわかるんだろうな~」と、ぼんやりと受けていた方も多いのではないでしょうか。

尿検査は痛い思いをすることなく簡単に行えるのが良いところで、体の中の異常を知る手掛かりになります。当院でも行っていますので、気になる症状がある方、健康診断で指摘のあった方などなど、お気軽にご相談ください。

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