舌下免疫療法

花粉症

スギ花粉アレルギーの原因となっているアレルゲン(スギの液体エキス)を少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らしていき、スギ花粉症の根本的な体質改善を行う治療法が、舌下免疫療法です。

これまでは、スギ花粉症に対する免疫療法といえば、皮下に注射をする「皮下免疫療法」だけでしたが、最近はアレルゲン免疫療法の研究が進んだ結果、舌の下に治療薬(スギの液体エキス:薬品名シダトレン)を滴下する「舌下免疫療法」が可能になりました。

投薬は、1日1回少量から服用を始めます。最初の2週間は徐々に増量し(増量期)、その後は決まった量を数年にわたり継続して服用します。治療期間は3年以上が推奨されています。その間は、定期的な受診(少なくとも1か月に1度)が必要です。

スギ花粉が飛散していない時期も含めて、長い期間に渡って毎日治療薬の服用(舌下)を継続することが必要です。自宅で気軽にできる治療という点は大きなメリットで、「時間がないから、あまり頻繁に通うことができない!」という方におすすめの治療法です。

○治療の受け方

①舌下免疫療法を受ける以前に、まずスギ花粉症の診断が必要です。当院ではマルチアレルゲンのスクリーニング採血で判定しています。(39種類の抗原のスクリーニング:3割負担で7,200円程度)

②採血結果の確認のため再診します。採血結果でスギ花粉症が強く疑われた場合には、希望により舌下免疫療法(開始前受診)の予約をご案内します。

③舌下免疫療法(開始前受診)・・・診断確定と治療に関する注意点を最終確認し、スギの液体エキス(薬品名シダトレン)を処方します。

④舌下免疫療法(初回舌下投与)・・・前回処方されたスギの液体エキス(薬品名シダトレン)を持参してご来院下さい。最初の投与は医師が行います。

(要注意!)スギ花粉の飛散が始まる直前や飛散時期に舌下投与を開始することはできない薬剤です。当院では初回投与は6月から11月までの間に行います。

○投与の流れ

  • Step1

    初回のみ医師が舌下に投与します。

  • Step2

    2分間は舌下に薬剤をとどめておき、投与後5分間はうがい、飲食が禁止になります。

  • Step3

    投与後30分間は副作用が出ないかの確認のため、院内に待機して頂きます。

○薬の種類

舌下免疫療法には3種類の薬を使います。

1)増量期 初回から7日目までは薬液(スギ花粉舌下液200JAU / mL)を投与します。また、毎日決められた量を舌下に投与し、少しずつ増やしていきます。

2)増量期 8から14日目は薬液(スギ花粉舌下液2000JAU / mL) を用います(つまり1週目の10倍濃度となります)。1週目と同様に投与量を少しずつ増やしていきます。

3) 維持期 15日以降は薬液(スギ花粉舌下液2000JAU / mL)1MLパックを毎日同量ずつ舌下投与します。

○投与期間

スギ花粉が飛んでいない時期も含めて毎日服用します。少なくとも3年の継続通院が必要です。

  診察費用(3割負担の方) 薬代
開始前の受診 約570円 約3500円(2週間分)
初回投与 約370円 0円(処方なし)
増量済み確認の受診 約370円 約1500円(4週間分)

※診断・治療の手順は、患者さんの状況によって異なります。コストについても上記と多少異なる場合がありますので、ご了承下さい。

臨床試験の結果では、約8割の方にスギ花粉症の症状を長期にわたり抑える効果が期待できます。うち、およそ2割の方は症状が出なくなりました。つまり、免疫を作る根本的な治療であるため、体質自体が完治できる可能性もあるということです。治療薬の投与を長期に続けることが大切です。

     
  • くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善
  •  
  • 涙目、目のかゆみの改善
  •  
  • アレルギー治療薬の減量
  •  
  • 生活の質の改善

○治療を受けることができない方

  • スギ花粉症以外のアレルギーの方
  • 12歳未満の方
  • 長期間の治療を継続的に受けるのが難しい方
  • 重度の気管支喘息の方
  • 悪性腫瘍・免疫系の病気の方

○治療を受ける際に注意が必要な方

  • 気管支ぜんそくの方
  • 妊娠、授乳中の方
  • 高齢者(65歳以上)の方
  • 口の中の術後(抜歯など)、または口の中に傷や炎症がある方
  • 重度の心疾患、肺疾患及び高血圧症の方

○治療を検討している方へ(心構え)

  • 長期間(3~5年)の通院治療を受けることが可能か
  • 治療薬の服用(舌の下に2分間保持)を毎日継続できそうか
  • 少なくとも1カ月に1度の通院ができるか
  • 全ての患者さんに効果を示すわけではないと理解ができるか
  • 効果があって治療終了した場合でも、長期的には効果が弱くなっていく可能性を理解できるか
  • アナフィラキシーなどの副作用が起こる可能性がゼロではないことを理解できるか

メリット

     
  • スギ花粉によるアレルギー体質自体の根治、改善が期待できます(80%の方に効果があります)。免疫を作る治療法なので、根治が期待できます。
  •  
  • 薬を滴下するだけなので痛みがなく、自宅で服用ができます(初回投与は医師の監督のもとで行う必要があります)
  •  
  • 全身的な副作用はほぼないとされています

 

デメリット

     
  • アレルゲンを投与することから、局所のアレルギー反応が起こる可能性があります
  •  
  • 治療は長期間(3~5年)かかります。通院が必要です。
  •  
  • 全ての患者さんに効果が約束されるわけではありません(2割の方には効果が出ません)

舌下免疫療法では、スギの液体エキスを投与して慣れさせる治療ですので、軽微な副作用が現れる恐れがあります。

○主な副作用

     
  • 口の中の副作用(口内炎や舌の下の腫れ、口の中の腫れなど)
  •  
  • 咽喉のかゆみ
  •  
  • 耳のかゆみ
  •  
  • 頭痛   など


○重大な副作用(全国で報告例は今のところありません)

     
  • アナフィラキシー
  • └医薬品などに対する急性の過敏反応により、医薬品投与後多くの場合30分以内で、蕁麻疹などの皮膚症状や、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック症状(蒼白、意識の混濁など)が見られます。現在のところ舌下免疫療法による重大な合併症は全国的に報告されていません。




舌下免疫療法をご希望の方は、お電話(045-929-5082)にて「アレルギー科」をご予約の上、ご来院下さい。