大腸がんとは~症状と診断方法編~

印刷用ページ[2020/12/01] 胃腸科

皆さん、こんにちは。横浜市胃腸科のららぽーと横浜クリニックです。
寒く、この時期特有の感染症も流行ってきていますね。皆さんも、出来る感染症対策を行い、今年の冬を乗り切りましょう。

さて、今回は大腸がんのお話です。
・・・今までも大腸がんに関係するブログはいくつも更新してきましたが、今回は初心に戻り、そもそも大腸がんとはなんなのか、というお話をしていきたいと思います。

 

大腸がんとは

大腸がんとは、その名の通り大腸の一番内側の粘膜に出来るがんの総称です。
大腸は約1.5mあり、とても長い臓器です。食べ物は胃を通り、小腸、大腸と腸管を通過し、最後は肛門から便となって出ていきます。
小腸側から盲腸、結腸、直腸と分かれており結腸は更に上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸と細かく分けられています
S状結腸に出来たがんであればS状結腸がん、直腸であれば直腸がん、といったように部位+がんで呼ばれることが多いです。

大腸がんは良性のポリープが大きくなる過程でがん化するものと、粘膜の正常な細胞ががん細胞に変化して発生するものがあります。
前にもお話したことがありますが大腸がんができやすい場所はS状結腸と直腸で、大腸がんの70%をこの2つが占めます
国立がん研究センターの2018年の最新の統計では、死亡数が多い部位の男性は3位、女性はなんと1位と、上位なのが大腸がんです。
日本人にとって大腸がんは、身近ながんの1つとなっているのです。

では、大腸がんとなるとどんな症状が出てくるのでしょうか。


大腸がんの症状

早期の大腸がんでは自覚症状がほとんどありません。会社の健康診断で便潜血検査(大腸がん検診)を行うことがありますが、早期の大腸がんでは便潜血検査は陽性(要検査の結果)にならないことがほとんどです。
がんが進行し大きくなってくると血便、便通異常(便秘・下痢)、腹痛、便の狭小化(便が細くなること)、体重減少などの症状が現れます。


盲腸、上行結腸、横行結腸(大腸の右側)

比較的腸管が太めで、ここを通過する頃の便はまだ水分量が多く液状であるため、便通異常を感じることは少ないです。
また、出血しても排便までに時間がかかるため、血便を自覚することも少ない傾向にあります。
がんが大きくなり、腹部にしこりや出血による貧血が起こり、全身に倦怠感が出始めて気付くこともあります。

下行結腸、S状結腸(大腸の左半分)

がんが大きくなり腸管の内側の空間が狭くなってくると便が通過しにくくなり、便秘、下痢になったり止んだり等の便通異常が見られます。
更にがんが大きくなると、便の通過が困難となり、腹痛や腸閉塞のような症状が出ることもあります。

直腸がん

直腸のがんは肛門に近い部分であり、血便で発見されることが多いです。特に出血は便に血液が付着して発見されることが多く、比較的鮮血に近い状態です。
また、がんが大きくなり直腸が狭くなると、便が細くなったり、残便感といった症状が現れることもあります。

このように、がんの発生部位によって現れる症状が変わることがありますが、どの部位でもがんが大きくなることで、便の通過障害が起こると、腹痛や腸閉塞が起こることがあります。

今挙げたような症状が現れる大腸がんですが、そのほとんどが誰もが身近に起こる症状…腹痛や便秘や下痢、そして血便などです。
そう思うと少し怖いですよね。では、大腸がんが疑われる場合はどのように診断をしていくのでしょうか。

 

大腸がんの診断

大腸がん検診(便潜血検査)が「陽性」の場合や、便秘や血便などの大腸がんを疑う症状がある場合には、大腸内視鏡検査を行います
大腸内視鏡検査では、肛門から内視鏡カメラを挿入し、盲腸から直腸まで異常がないかを調べることができます。
もしも、大腸がんを疑う病変が見つかった際には病変の一部を採取し(粘膜の一部をつまみ)、病理検査(顕微鏡で粘膜をみる検査)でがんかどうかを確認し、大腸がんと診断します

大腸がんの診断がされたら、治療方針を決定するためにいくつかの検査(CT検査やMRI検査など)を行い、大腸がんの進行具合を調べます。それらをもとに、大腸がんの治療をしていく必要があります。

 

最後に

いかがでしたか?
高齢化と食生活の欧米化の進む現代の日本では、大腸がんは年々罹患数が増えています。男女の合計ではがんによる死亡数の順位で2位が大腸です。
それほどまでに、大腸がんは身近な病気なのです。
早期のがんでは症状は出ないこともありますから、たまたま検査をして大腸がんが見つかった…という人も少なくありません。
便潜血検査で引っかかるくらいの大腸がんは、ほとんどが進行してしまっているものです。
それを考えると、やはり定期的な大腸内視鏡検査が必要なのも納得ですよね。

今回は大腸がんの症状や診断方法についてお話しました。長くなってしまうので、今回はここまでにしておきましょう。
次回は「大腸がんの治療方法と予防方法」についてお話していきます。


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