風が吹くだけで激痛が走る? 痛風発作(高尿酸血症)とは

印刷用ページ[2016/07/01] 内科

「ビールの飲みすぎで痛風になった」なんて聞いたことはありませんか?

今回は、「風が吹くだけで激痛が走る」と言われる痛風発作と、その原因となる高尿酸血症についてお話したいと思います。

 

 

痛風ってどんな病気?

痛風とは、「関節などからだのあちこちに尿酸塩という尿酸の結晶が溜まり、激しい痛みを引き起こす炎症発作」です。プリン体(DNAなど細胞の核の中にある核酸などを構成する成分)を分解・代謝する際、最終的に生じる老廃物である尿酸(体内で80~90%、食事から10~20%が産生され、尿や便から排泄される)が血液中に増えすぎること(高尿酸血症)によって起こります。その発症者の9割以上が成人男性で、40歳以上の男性の10人に1人が痛風予備軍(=高尿酸血症)と言われています。

つまり、血中の尿酸値が高い人ほど痛風を発症する危険性が高いのです。

 

 

尿酸値を上げないためには?

尿酸の基準値は男女ともに6.0mg/dLで、7.0mg/dLを超えると痛風予備軍となります。

血中尿酸値の上昇の原因は、過剰な尿酸産生あるいは排泄量の低下にあります。痛風予備軍にならないためにも、次のことを心がけてみましょう。

 

①プリン体を摂り過ぎない

体内でプリン体を分解する量が増えれば増えるほど、産生される尿酸の量も増えます。痛風予防の為には、プリン体を多く含む食品(レバー・エビ・カツオ・青魚の干物など)を多量に継続してとらないよう注意します。意外にもイクラや明太子などの魚卵には、プリン体はたくさん含まれているというわけではないんです。

ちなみに、プリン体を多く含む食品をどうしても食べたい場合は、茹でたり煮たりして煮汁を飲まないようにすると、プリン体は煮汁に移ってくれるので摂取量を減らせるんですよ。

 

②水分を十分摂って、尿からの尿酸排泄を増やす

体内で産生された尿酸を減らすためには、尿や便と一緒に排泄すること。1日に2リットル以上の水分摂取が理想と言われます。ただし、甘いジュースやアルコールの大量摂取は逆効果です。特にアルコールは、それ自体にプリン体が含まれているので、飲み過ぎは体内の産生量を増やしてしまいます。そのうえ、肝臓での尿酸産生を促進し、腎臓からの排泄を妨げてしまう作用もあるのです。ビールなら1日500ml、日本酒なら1合、ウイスキーならシングル2杯程度にとどめて、週に1~2日は休肝日を設けましょう。

 

③バランスの良い食事と適度な有酸素運動で減量を

 痛風予備軍の人の多くはメタボリックシンドローム(肥満)を合併していると言われています。食事は塩分や油を控えめにし、できるだけ規則的な時間に、しっかり噛んでゆっくりと食べます。野菜や海藻類は尿をアルカリ化させるのでしっかり摂りましょう(目安は1100g以上)。

また、定期的な有酸素運動も非常に大切です。無酸素運動は体内の水分が失われ、痛風発作を誘発しかねないので、十分な水分補給をしながらウォーキングやジョギング、水泳などを適度に行いましょう。

これら生活習慣の改善は痛風(高尿酸血症)だけでなく、高血圧・高脂血症・高血糖症など他の生活習慣病の予防にもつながります。

 

いかがでしたか?

今回は痛風とはどんな病気なのか。また、簡単な予防方法についてご紹介しました。

次回は「痛風の治療方法」について具体的にお話ししたいと思います。

 

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